歴史と制度

道の駅の歴史:1993年の103駅から1,234駅へ、3つのステージで見る歩み

約14分で読めます ・ 2026年10月9日更新

道の駅に立ち寄ると、駅ごとに「登録年」が違うことに気づきます。1993年に登録された駅もあれば、ごく最近に登録された駅もあります。この違いは、駅の設備や雰囲気を知る手がかりにもなります。

道の駅は、いつ、どのようにして生まれ、どう広がってきたのでしょうか。国土交通省が公表している沿革や提言を使って、約30年の歩みを振り返ります。

ツーリングで駅を選ぶ前に歴史を知っておくと、一つひとつの駅が、地域の願いと制度の変化の積み重ねの上にあることが見えてきます。

歴史が長いからこその課題もあります

歴史を学ぶ前に、長く続く制度だからこそ生じる課題を確認しておきましょう。

登録年が古い駅は、設備の更新が課題になっています

令和元年の「第3ステージ」提言は、制度創設から四半世紀が経ち、多くの施設でリニューアルが必要になっていると述べています。登録の古い駅ほど、建物や設備の更新が課題になりやすいということです。

要綱にも、関連する定めがあります。登録後に要綱が変更されて要件に当たらなくなった駅は、リニューアルなどの機会をとらえて、要綱への適合を図るとされています。つまり、古い駅の設備が現在の基準に追いつくのは、改修のタイミングが基本になります。

人手不足の中で運営されている駅もあります

同じ提言は、個々の道の駅が、人手不足や担い手不足の中で、多くの利用者を受け入れる業務を日々こなしていると指摘しています。売店や案内所の営業時間、案内員の配置は、こうした事情の影響を受けることがあります。

登録が取り消された駅もあります

国土交通省の沿革には、登録の追加だけでなく、登録取消の記録もあります。平成16年3月30日、平成25年4月1日、令和4年1月31日には、取消の記録があります。令和7年にも、登録と取消が同じ日に記録されています。

登録数が増え続けているのは事実です。ただし、すべての駅が永続するわけではありません。古い情報をもとに出かけるときは、現在も営業しているかを確かめてください。

社会実験から始まった道の駅

ここからは、道の駅の歩みを順にたどります。出発点は、制度ができる前の社会実験です。

  • 平成3年(1991年)10月〜平成4年(1992年)4月「道の駅」を山口県、岐阜県、栃木県で実験しました。
  • 平成3年(1991年)交通安全事業の対象に、道の駅の「駐車場」を追加しました。
  • 平成5年(1993年)1月18日「道の駅」懇談会が提言をまとめました(会長は越正毅教授)。
  • 平成5年(1993年)2月23日「道の駅」の整備についての要綱を策定しました。
  • 平成5年(1993年)4月22日全国103箇所が登録され、道の駅が誕生しました。

実験の舞台は三つの県でした。その後、1993年に全国で制度として動き出します。道の駅の駐車場が交通安全事業の対象に加わったのも、この時期です。

誕生の背景には、長距離ドライブの増加と、女性や高齢者のドライバーの増加がありました。安心して立ち寄れる休憩の場所が、道路沿いに求められていたのです。

登録数の増え方を数字で見る

誕生から現在までの登録数の推移を、国土交通省の沿革にもとづいて折れ線グラフにしました。

全国の道の駅の登録数の推移1993年に103駅で始まり、2026年9月4日時点で1,234駅になった累計の推移を示す折れ線グラフです。04008001,20019952000200520102015202020251,234駅
全国の道の駅の登録数(累計)の推移。国土交通省「沿革」の各登録時点の数字をもとに作成。

1993年の103駅から、現在の1,234駅まで、右肩上がりで増えていることが分かります。節目になった登録を、表にまとめます。

登録数の節目(国土交通省「沿革」より)
登録日全国の登録数そのときの動き
1993年4月22日103駅登録
1998年4月17日470駅登録(80箇所追加)
2003年8月8日743駅登録(42箇所追加)
2005年8月10日830駅登録(45箇所追加)
2009年3月12日900駅登録(13箇所追加)
2013年3月27日1,005駅登録(9箇所追加)
2020年3月13日1,173駅登録(13箇所追加)
2026年9月4日1,234駅登録(3箇所追加)

1回の登録で特に多く追加されたのは、平成10年4月17日の80箇所と、平成11年8月27日の81箇所です。1990年代の終わりにかけて、全国に一気に広がったことが分かります。

その後は、1回あたりの追加数が落ち着いていきます。平成22年から令和初期にかけては、1回の登録で数駅から20駅ほどの追加が続きました。近年は、数駅から10駅弱の追加が中心です。

第1ステージ:通過する道路利用者へのサービス提供

国土交通省の提言は、道の駅の歩みを三つのステージに分けて説明しています。最初の第1ステージは、1993年からの時代です。

このステージのコンセプトは、「通過する道路利用者のサービス提供の場」です。道路を通る人のための休憩と情報の提供が、制度の出発点でした。

現在の登録要件でも、利用者が無料で24時間使える駐車場とトイレ、そして道路や地域の情報の提供が求められています。第1ステージの考え方は、今の制度の土台として読み取れます。

第2ステージ:道の駅自体が目的地

提言によると、第2ステージは2013年からです。コンセプトは、「道の駅自体が目的地」とされています。

通過するついでに立ち寄る場所にとどまらず、道の駅そのものの魅力が重視される段階と説明されています。

要綱の「地域連携機能」は、文化教養施設や観光レクリエーション施設などの地域振興施設を求めています。駅自体の魅力づくりと関わりの深い機能です。

ツーリングでも、目的地として道の駅を選ぶ楽しみ方があります。駅ごとの違いが大きいほど、立ち寄る価値も高まります。

第3ステージ:地方創生・観光を加速する拠点

令和元年11月18日、新「道の駅」のあり方検討会が提言をまとめました。2020年から2025年を対象に、道の駅を「地方創生・観光を加速する拠点」へと進める内容です。

提言の時点で、全国の道の駅は1,160駅に展開していました。国土交通省は、2025年に目指す三つの姿を示しています。

1.「道の駅」を世界ブランドへ

海外へのプロモーションの強化、外国人観光案内所の認定取得、キャッシュレスの導入、風景街道などと連携した観光周遊ルートの設定が、主な取組として挙げられています。

2. 新「防災道の駅」が全国の安心拠点に

広域的な防災拠点となる「防災道の駅」の認定制度の導入と、重点的な支援です。地域防災力を高めるためのBCPの策定や、防災訓練の実施も進められます。

3. あらゆる世代が活躍する地域センターに

子育て応援施設の併設、自動運転サービスのターミナル、大学などと連携したインターンシップや実習(商品開発など)が、主な取組とされています。

ねらい

各駅の自由な発想と地元の熱意を生かし、道の駅同士や民間企業とのつながりを広げて、地域経営の拠点としての力を高めることです。

防災道の駅は、2021年に39駅が初めて選ばれました

防災の取組は、具体的な選定として形になっています。国土交通省は令和3年6月11日、都道府県からの提案を踏まえて、「防災道の駅」として39駅を初めて選定しました。

選定の対象は、都道府県の地域防災計画などで、広域的な防災拠点に位置づけられている道の駅です。選定の要件として、次のような点が示されています。

  • 広域的な防災計画などに、広域的な防災拠点として位置づけられていること
  • 建物の耐震化、無停電化、通信や水の確保などにより、災害時にも業務を続けられる施設であること
  • 災害時の支援活動に必要なスペースとして、2,500平方メートル以上の駐車場を備えていること
  • 設置者の市町村と道路管理者の役割分担が定まった、BCP(業務継続計画)があること

選定の要件には、ハザードエリアにある場合は適切な対応が講じられていることも含まれます。また、必要な機能や施設、体制がまだ整っていない場合でも、今後3年程度で整えるための具体的な計画があれば、要件を満たす扱いとされています。

支援は、ハード面とソフト面の両方で行われます。ハード面では、防災機能の整備と強化を交付金で重点的に支えます。ソフト面では、BCPの策定や防災訓練について、国のノウハウを生かした支援を行います。

災害時には、自衛隊や警察などの救援活動の拠点、緊急物資の基地、復旧・復興活動の拠点としての役割が想定されています。休憩施設として生まれた道の駅が、地域を守る場所にもなっているのです。

課題への対応として、国の支援も整えられています

先ほど触れた設備の老朽化や人手不足に対して、国の支援も用意されています。第3ステージの提言は、各駅の努力だけに任せていては2025年に目指す姿の実現は難しいとして、国などからの支援を充実させるべきだと述べています。

提言が挙げた支援の方向は、次の三つです。

  • 関係省庁の各種支援制度を、市町村などが使いやすい横断的な体制にすること
  • 「防災道の駅」制度を早期に実現し、ソフトとハードの両面から重点的に支援すること
  • 完成から年数が経過した道の駅のリニューアルへの支援を充実させること

国土交通省は、令和7年度版の「各省庁の「道の駅」支援メニュー」をまとめています。国土交通省のほか、内閣府、総務省、農林水産省、環境省などの支援が、新築、改修、修繕といった用途別に整理されています。支援対象の一つには、「車中泊向け駐車スペース」も挙がっています。

こうした仕組みがあることで、登録の古い駅でも、改修によって設備が更新される道が開かれています。ただし、実際にどの駅がいつ改修されるかは、各設置者の計画次第です。

登録年から見る、駅の世代

国土交通省の一覧には、駅ごとに「登録回」と「登録年月」が記載されています。この情報を集計すると、現在の道の駅がどの時期に登録された駅で構成されているかが分かります。

現在の一覧にある駅の登録時期別の駅数(2026年9月4日現在)
登録時期駅数全体に占める割合
1993〜1999年(平成5〜11年)546駅44%
2000〜2009年(平成12〜21年)365駅30%
2010〜2019年(平成22年〜令和元年)244駅20%
2020年以降(令和2年〜)79駅6%

1993〜1999年に登録された駅は546駅で、全体の約44%を占めます。現在の道の駅の中心は、登録から四半世紀以上が経った駅だということです。

年ごとの駅数も、グラフで確認できます。

  • 1993112
  • 199459
  • 199558
  • 199679
  • 199777
  • 199880
  • 199981
  • 200059
  • 200139
  • 200252
  • 200341
  • 200443
  • 200545
  • 200614
  • 200723
  • 200819
  • 200930
  • 201035
  • 201125
  • 201219
  • 201319
  • 201426
  • 201539
  • 201628
  • 201727
  • 201811
  • 201915
  • 202020
  • 202113
  • 20227
  • 202311
  • 202412
  • 202513
  • 20263
登録年別の駅数(現在の一覧にある駅を、一覧の登録年月で集計)。

最も多いのは1993年の112駅です。誕生した年に、8月と11月の登録も含めて一気に駅が増えました。2018年以降は、1年あたり数駅から20駅ほどの登録が続いています。

第1回に登録された駅は、一覧に100駅あります

沿革によると、1993年4月22日の登録は全国103箇所でした。一方、現在の一覧で「第1回」の登録とされている駅は100駅です。数字に違いがありますが、その理由は一覧からは読み取れません。ここでは、数字の違いだけをお伝えします。

第1回の駅が多い都道府県は、次のとおりです。

地域ごとに、制度に早くから取り組んだ度合いに違いがあったことがうかがえます。登録の古い順に駅を並べた県のページを見ると、その県での道の駅の広がり方をたどれます。

登録回と登録年月の読み方

登録は、年に1回から数回、国土交通省がまとめて行ってきました。一覧の「登録回」は、その回の通し番号です。現在の一覧には、第1回から第65回までの駅が載っています。

なお、第65回の登録年月は、一覧では令和8年8月と表記されています。沿革では、同じ登録の日付が令和8年9月4日と記されています。当サイトの駅ページでは、一覧の表記をそのまま掲載しています。

登録年を、駅選びにどう生かすか

歴史を踏まえると、駅ページの「登録年」の見方が変わります。

1990年代に登録された駅は、制度の初期から地域の休憩拠点として続いてきた駅です。長く地域に根づいている反面、リニューアルを経て設備が更新されている駅と、そうでない駅が混在している可能性があります。

2010年代以降に登録された駅は、比較的新しい制度の下で登録された駅です。ただし、登録年だけでは、設備や営業の状況を判断できません。

当サイトの道の駅一覧では、県ごとに登録の古い順で駅を並べています。各駅のページでは、県内の登録順と、登録時期が近い駅も確認できます。

全国の登録数が1,234駅に達した今、同じ県の中でも駅ごとの個性は大きく違います。歴史を知ったうえで、走るルートの近くの駅を比べてみてください。

歴史を知って、次の一駅を選ぶ

道の駅は、1991年の社会実験と1993年の103駅の登録から始まり、約30年で1,234駅にまで広がりました。通過する人への休憩の提供から、目的地としての魅力づくり、そして地方創生や防災の拠点へと、期待される役割も広がっています。

その一方で、設備の更新や人手の確保といった課題も、国の資料の中で指摘されています。歴史が長い駅ほど、最新の状況を確かめてから訪れる意味があります。

まずは道の駅を探すから、走る予定の県を選んでください。基本的な仕組みは道の駅の基礎知識で、休憩の組み立て方はツーリングの休憩計画ガイドで説明しています。

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